私には大好きなレストランがあります。

特別な時にはそこに行って美味しい料理をいただくのが、私にとっては特別な幸せを感じる時です。

何が特別かというと、まずはシェフが作る料理が美味しいことが一番ですが、家族経営のアットホームな雰囲気も素敵で、お料理は一流ですが堅苦しくなく楽しい会話ができるのもご馳走です。

そこにいる猫ちゃんがまた可愛いのです。

名前は「セコム」と言って、ノラちゃんだったのが何故か動物好きなシェフのところにやってきたそうです。

高級フレンチレストランに猫、ちょっと似合わないですよね。

食事しているとテーブルの近くにやってきたりしますが、絶対乗ることはなく爪を立てたりしている姿を見たことがありません。

鳴き声さえ聞いたことがありません。

本当にお行儀が良い猫ちゃんで、私はそこにいることが自然過ぎて違和感を持ったことがありませんでした。

むしろセコムに会いに行っていた気もします。

今日もそのつもりで行ったら、姿が見えませんでした。

奥さんに「セコムは元気ですか?」と聞くと、思いがけない言葉が返ってきました。

「レストラン30周年の記念日の次の日に亡くなりました。」

5月29日に天国に召されたそうです。

13年間の共同生活だったと聞きました。

シェフは冗談を言いながら、でもかなりショックが大きかったようでペットレスが見て取れました。

奥さんに至っては、お話ししてくださいながら涙目になっていました。

2度ほど交通事故にも遭い、トラックに乗ったまま遠くに行ってしまった事もあったけど、その度に生還してきたセコムでしたが、今回は本当に眠るように行ったそうです。

本当におとなしくて賢い猫ちゃんでしたので、私も大好きでしたしショックでした。

最後にセコムの写真集2冊も見せていただきました。

シェフの家族の一員であり、レストランの影のボスだった気がします。

奥さんがとっておきのエピソードを語ってくださったのですが、「予約の時に猫アレルギーの方がいた場合、お断りしていました。」とのことでした。

お客様よりもセコムが優先だったことがよく分かります。

こんなに愛されたセコム、どうか安らかに眠ってください。

そしてシェフの息子さん含めご家族が、1日も早く心穏やかになられますように祈っています。

そして、これからも私達に素敵な時間を与えていただけるようにお願いします。

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